無目的日記昼凪

暖かい日差しの中の海、波ひとつないどこまでも続く平穏な地平線


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なかなか寝付けず、キッチンとベッドをうろうろしながら夜を過ごした わたしが寝付けないなんてめずらしい
ベッドと羽毛布団、隣に眠る同居人のあの包み込むようなあたたかさに耐えられず、座椅子で眠った
二日酔いのときには床の冷たさと容赦ない他人行儀感、わたしに全く配慮のない感じが心地よいのだが、それの次点という感じ

なんとかバイトに行って、この日のバイトは直前まで人が住んでいたふうの家の撮影で、なんとなく怖くて撮影を始めるまですこし時間がかかってしまった
人の家の匂いがした トイレに掛かっているワンピースのタオルなど、実家感がすごすぎて、いやでも前住人を思ってしまう

なんで昨日あんな飲んじゃったんだろ、やっぱ知らない人がたくさんいたからかな、と考え、反省していた
わたしが知りたいのは、年はいくつでどこに住んでいて仕事は何をしている、みたいな「情報」じゃなくて、そのひとが「どんな感じ」の人なのか、ふだん何を考えてどういうことをしているのか、みたいな曖昧な、人となりと生活みたいなことなのだと思う
でも今のわたしには雑談力みたいなものがなく、会話の引き出しがなく、その上「欲張りの気ぃ遣い」の「自意識過剰」なので、これを言うと失礼じゃないかとか、嫌な気分にさせてしまうかもしれないなとか、なにかと怯えてしまってうまく会話ができないし、そういう危惧があるというだけでもうぶっちゃけめっちゃめんどくさく、そこまでして他人と話す価値・意味があるか? などと思ってしまうのだった コスパ悪くないか、みたいな最高に面白くない発想が湧いてきてしまう
また同時に、わたしはインターネットだいすき人間なのでネットには真実があると信じていて、SNSのアカウントをぜんぶ教えてくれれば(そしてそれをまめに更新してくれれば)あなたと話すことがなくともそれでじゅうぶん、という気もしている
それを、酒で、というか酔いで「自意識」や「配慮」をなくすことによって、めんどくささと怯えを吹き飛ばして、勢いと好奇心だけで喋っているのだという気がする そういうときのわたしは、ニコニコしていて、楽しそうで、少し攻撃的らしい そうだろうなという気がする 次の日にはほとんど覚えていないのだが
それに、SNSのアカウントを教えてもらうにはやっぱりある程度の会話が必要だし、SNSやインターネットに真実を書きつける人がそんなに多くはない、ということもちかごろの知見として(ようやく)知ったので、やっぱり会話するしかないのだ、人を楽しみたいのなら

人にこういう話をしていて、は、これってもしかしてシンプルに会話スキルを身に着けるだけでずいぶんと解決しないか? と気づいてしまったので、Amazonでそういう本を買った ずいぶんと長いこと見て見ぬふりをしていた気がする