無目的日記昼凪

暖かい日差しの中の海、波ひとつないどこまでも続く平穏な地平線

父方の親類一同の集まりで、20人ほどでホテルにお泊まり 「おばあちゃんを囲む会」らしい 一家族につき一スイートルームが与えられテンションが上がる
ほぼ10年以上ぶりに会う人たちばかりで直前まではマジで緊張していたのだが、会ってみるとなんてことはない わたしも大人になったものだ
必要以上に何かをする必要はない ただ空気のようにそこにいて、ときどき笑い、聞かれたことに答えられれば御の字

おばあちゃんが「10年ぶりくらいちゃうか」と詰め寄ってくる
「さすがに10年はない」と苦笑いのわたしと妹 心が痛い さすがに10年はないがほとんどそのくらいぶりだし正月に一瞬顔を出すくらいのものだったから
おばあちゃんはチャキチャキしていて、歯に衣着せぬ話し方で口数も多く、いわゆる「大阪のオバチャン」っぽい感じで何となく苦手だなあと子供の頃は思っていたのだが、なんだか雰囲気が丸くなっていて目尻も優しく下がっていた

何人もの親戚に、お母さんに似てきたなあ、結婚したばかりの頃のお母さんにそっくり、と言われた どういう反応をすればいいのか分からない ただわたしは母の雰囲気や風貌が好きなので悪い気はしない
ラウンジでお茶をして夜はコースを食べ、泡やワインを飲み、温泉に浸かって眠った 優雅なもんだよ 普段は生の野菜をそのまま齧っています

そうそう、「親戚」ってこういう感じだった、と思い出す 久しい感覚
思いの外違和感ってないものなんだな ずらり並んでいるところを見渡すと、この系譜の中にわたしはいるのだ、と感じる それは、思ったより悪い感覚ではなかった
りっぱな人間じゃないから誰にも会いたくないと思っていた でもりっぱな人間じゃなくても別にいいのかな 事実そうなんだし

父は一週間ほど前にヘルニアを発症したらしく、この日車椅子に乗っていた
近所にあちこち行きたいところがあったらしいのだが、ぜんぶパーになってしまい、すっかりしょぼくれていた
「おばあちゃんより誰よりお父さんが元気ない」と何度も妹とクスクスした 父、マジでしょぼくれている 早く治りますように