無目的日記昼凪

暖かい日差しの中の海、波ひとつないどこまでも続く平穏な地平線

二度寝三度寝四度寝と繰り返していたら、夢を見た
わたしは院生の頃のバイト先のバーの隣の飲食店で勤めている
昔のバイト先のバーに入りたい でも今の自分じゃ入れない
未練たらたらに、でもこっそりと横目で見ながら新しいバイト先に入ろうとすると、バーから店長が出てきて「どしたん?」と聞いてくれた
その昔と変わらなさに安堵し、また飲みにこよう、と思えた

入りたい でも今の自分じゃ入れない
それはいつも、実際に思っていたことだった
キャバクラやクラブ以外では初めてのバイトだった(それでも水商売だし親は嫌がったが)し、オープニングスタッフだったし、3年くらい勤めたし、社員と付き合っていたし、毎日系列店を飲み歩いていたので思い入れのあるバイトだった

大学院を出て就職したのはホテルのバーだった もともと酒が好きでバーの仕事に憧れてバーの仕事をするためにホテルに就職した 結局一年ほどで辞めるのだが
「ホテルはやめとけ」バイト時代、何度も言われた ホテルがどうこうは別として、まあ実際にわたしはダメだったな ホテルは好きだったんだけど あと付き合っていた社員とは就職したらすぐに別れてしまった
結局半端で恥ずかしくて、それから一度か二度しか訪れていない
それからしばらくして、夢と同じように、バーの前を通らないと辿り着けない場所でバイトを始めた 前を通るとき、いつも、バレませんようにと祈りながら、できるだけ小さくなって歩いた
「今どうしてるん?」って絶対聞かれるから、立派な自分にならないと飲みにいけないと思っていた

朝起きて気になって店のインスタをチェックしてみると、店長も変わっていたし当然知っているバイト仲間もいなかった
もう知っている人が誰もいないなら、関係ないから、飲みに行けるな うれしいような寂しいような気がする
店長はまだあの会社にいるのだろうか それとも独立しただろうか 生まれたばかりだった子供はいくつになっているだろうか

夕方ごろ、電車とバスを乗り継いで1時間ほどの実家に帰った
今年の春に結婚して家をでた妹は毎月実家に帰っているらしい 実家にいた頃と何一つ変わらぬ様子で座椅子にもたれかかっていた
地元の友人と花火をするつもりだったが雨天のため中止に

夕食の後、父の誕生日に買ってきたシャンパンを開けて、無花果の食べ比べをした 近所に無花果の店? があるらしく、いろいろな種類の無花果が入荷しているらしい 話を聞いている段階ではフーンと思っていたのだが、実際に6種類の無花果を食べ比べてみると味が全然違って驚いた
あまり食卓に長居すると両親と何を喋っていいのか分からなくなるので早めに風呂に逃げた 面目ない