無目的日記昼凪

暖かい日差しの中の海、波ひとつないどこまでも続く平穏な地平線

朗くんが、ベッドに潜り込んだまま、あと5分経ったら動きます、と言っている 5分後は10時なのだが
朗くんの準備を待って、広島平和祈念公園
原爆ドーム、初めて見た おお、と思うな どうしても
説明板にめちゃくちゃ蟻が集っている

ぼうっと原爆ドームを眺めていたら、朗くんがボランティアガイドさんに話しかけていた
わたしは人と話をするのが苦手で、旅先での交流なんてのは正直もってのほかなタイプであるので一瞬うわっと思ってしまったのだが、そもそも仕事で来ているわけだし、となるとこれも当然仕事のうちだし、と逡巡しているうちに呼び寄せられ結局一緒に説明を聞くことに
そこから1時間半ほど、自作のファイルを使い、公園周りを実際に巡って、資料館から消えてしまった情報などを教えてくれた
雨の日以外はここに立って、一日一組必ず案内をしているらしい
「これで今日は帰れるわ」と笑っていた 
最後に、まあ想像力の問題やねというようなことをおっしゃられていて、それは違いないなと思った
朗くんは途中「おっちゃん、おれら時間(のケツが)あるねん」などと言って説明を急かしていて、こういうことできるのすごいなと思ってしまった わたしはジリジリと焦り内心苛立ちを募らせながらもふんふん言って説明を最後まで聞いてしまうタイプだ

ガイドさんは資料館なんか行かんでいいと言っていたが、そういうわけにも行かないので公園内をぐるり廻り、一応資料館にも行った
祈念公園には所々に「平和への祈り」という言葉があった気がするが、平和への祈りってつまりはなんなんだろうと考えていた
資料館では、写真というもの、記録、について考えていた
娘は戦争で死にました、と娘が懇意にしていた男性に宛てて送られた手紙の最後の一文「焼残りのおばさんより」という言葉が頭に残っている

時間があったら宮島に行こうと言っていて、時間的にも間に合いそうだったので駅に向けて歩いていたとき、見漏れていた国立広島原爆死没者追悼平和祈念館を見つけた
ちょっとだけ入ろうかと言って触りだけ触れる感じで入ったのだが、「こっちだったか」と思った 体験記や記録映像のデータベースがあり、場所ごと、爆心地からの距離、名前、など細かに検索できるようになっている
インタビューなど「声」をもとに舞台を作っているわたしたちとしては完全にこちら側に時間をかけるべきだった気がする
「どうする?」と聞いてみると「いや、宮島行く」と朗くん 君のそういう欲望に素直なところって素晴らしいと思うよ
そそくさと公園を後に、電車に乗り込んだ

フェリーは何度乗ってもテンションが上がる 海だ!
暮れてゆく直前の、いちばん強い光が海に反射してまぶしい
宮島の砂浜にはめちゃくちゃ貝がいた 蟹もいた たまらん
昨日の晩お世話になったお父さんは「宮島で牡蠣なんか食べたら観光地料金で云々」と言っていたが、我々は我慢できずにここでも牡蠣を食べた この旅、現地の人に言われたこと全然無視してるな
時刻は5時前 宮島的にはこの時間、もう終わりがけのようで、ほとんどの店が店仕舞いをしていた まだ空いている店でビールを飲み、牡蠣を食べ、他にもつまみ、夕暮れの厳島神社(工事中)を拝み、唯一空いていた店で最後に岩牡蠣とタコの刺身を食べ、ビールを飲み、フェリーに乗り込んだ

さあ帰るぞ 帰りは新幹線
朗くんが隣でパソコンをいじって仕事をしているのを横目にずっとラミィキューブをしていたらあっという間に新大阪、そして京都
家に帰ったら同居人がモンハンの実況配信をやっていて、ただいま日常~と思った